コスチャ・レーシックは、新星と一日を過ごした。
15歳のアリーナ・ゴルバチョワは、今シーズンの開幕を飾るスケーターだ。彼女はシニアグランプリの表彰台に上がり、チャンネル・ワン・カップに火をつけ(アリーナ・ザギトワのチームで優勝)、今年のジュニア大会のメインであるロシア選手権では、2014年から続くエテリ・トゥトベリーゼの弟子たちの見事な連勝記録を更新して優勝した。
アリーナは、困難な運命を背負ったフィギュアスケーターだ。彼女は7歳までフィギュアスケートの世界に入らず(これは非常に遅いのである)、キャリアのほとんどをコーチのソフィア・フェドチェンコのもとで過ごしており、オリンピックでの優勝を望んでいる。
Sport24の特派員コンスタンチン・レーシックは、ゴルバチョワと1日を過ごし、彼女の事を全て知った。読者はお茶でも入れて欲しい。いっぱい読まなければならないから。その価値はあるはずだ。
トレーニングの後半に入る前にアリーナで会うことになった。5分程自由時間を使って、リンク、ジャンプ練習用のハーネス、フィジカルトレーニングのための2つのエリア(リンクのそばとジム内)など、アイスリンクの見学をした。そして、1日の練習スケジュールや練習方法について話し始めた。
「私のスケジュールは実に様々です。大体は朝8時45分か9時ぐらいにウォーミングアップをします。45分間ウォーミングアップをした後、リンクに出るため着替え、平均して1時間半ほど滑ります。その後、クールダウンを行い、休憩を挟んで、食事、睡眠をとります。
練習後半は、13:30にウォーミングアップ、14:00にリンクに入ります。大体の場合リンク上で2時間練習します。その後はフィジカルトレーニングをしたり、筋トレをしたり、ストレッチをしたり、クールダウンをしたりと、曜日によって違います。」
アリーナは何時間寝ているか(※ネタバレ多数)
では、いつ学校へ?
学校?(微笑) 自宅学習なので、家で勉強していて、学校には行っていないんです。小学校6年生からこんな感じです。
夜に勉強するんですか?
はい、夜とか週末に。空いている時間は勉強に充てるようにしています。
好きな科目は何ですか?
算数、社会、英語です。今は中学3年生で、積極的に共通テストの準備をしています。
休みの日はたくさんありますか?
一日か、あるいは全くないか、その時々です。
休みなし?すごいですね!
そうですね、これは私の気持ちに合わせて、監督と一緒に決めています。休まないほうがいい場合もあります。休む代わりにフォームや感覚を失わないように、リンクへ行って氷の感覚を感じ、ジャンプをする、そんな軽い日もあります。というのも、1日休んだら、ちょっと感覚がちぐはぐになってしまうことがあるんです。
ロシア選手権で優勝した後、あまり休んでいないのですか?
体調が悪かったので、3日間、ハードなトレーニングはしませんでした。マッサージを受けて、何度か目は覚めましたが昼ご飯の時間から次のお昼ぐらいまで寝ていました。大会の時はいつもとても疲れるので、終わった後は休んで寝たいんです。
適切なトレーニングを行うためには、何時間くらい睡眠が必要ですか?
たくさん寝るのが好きなので、夜9時に寝て、朝8時頃に起きます。
なんと、11時間も!
それと午後にまた1時間寝ます(笑)
エネルギー使うようなことなのですね?
そうですね、私は寝るのが好きなタイプなんです。大会の時は、練習の合間や演技の前にも寝ます。朝練を終えてホテルに戻る時も、まず寝て、それから準備をするんです。
寝坊の心配はないですか?
ありません(笑)休憩時間はとても多いので、寝坊はしにくいです。
トリクセル、ルッツ、クアッドとは?
見学ツアーは更衣室でも続く。アリーナは新しいティッシュカバーで、トリクセルという名の黄色い猫を見せてくれた。
「ロシア選手権の前にもらいました。私は子供の頃、ルッツという猫のぬいぐるみを持っていました。(これも見せてくれた。)ルッツを習っているときにこの黒猫をもらって、ジャンプにちなんだ名前をつけたんです。」と、彼女は言う。
それから、4回転を習っていたので、クワッドという名前の犬のティッシュカバーも持っていました。そして今はトリプルアクセルを習っているので、新しい猫、トリクセルを飼っています。これはコーチからプレゼントしてもらいました。」
ところで、トリプルアクセルの調子はどうですか?
今はハーネスを使って習っています。安定してくるようになったら、外して練習しようと思っています。今のところ、ハーネス上では悪くない感じです。
誰が持ち上げてくれてますか?
ソフィア・アナトリエブナ(フェドチェンコ、彼女のコーチ)です。
彼女はどこからそんな持ち上げれる力をつけたんでしょうか?
彼女はあまり力を使って持ち上げないんです。ハーネスというのは、ジャンプを感じ、新しい感覚を味わい、回転の仕方を理解するために必要なんです。私は曲がって飛んでしまうことがあるのですが、彼女が私を助けてくれ、転倒の衝撃を和らげてくれるのです。全体として、私を持ち上げてくれるというより、支えてくれているんです。
コーチは子供の頃から私を支えてくれています。他の人とではこれは難しいです。他の人は私のことをよく知らないし、より良くするためにどの方向にハーネスを向ければ良いかの感覚がわからないのです。それに、反対方向に引っ張られることもよくあって、ジャンプが悪くなるんです。
トゥループというティッシュカバーもありますか?このクワッドももらったものだということですが。
いえ、トゥループというティッシュカバーは持ってないんです。犬のクワッドは、4回転全部に通ずるので(微笑)。
次に、アリーナは難しいジャンプで転倒しても怪我をしない方法を見せてくれた。
私はズボンの中に発泡ゴムを入れるのが好きです。よく転ぶ場所に。いわゆるプロテクターの入った短パンでジャンプするのは不快なんです。動きがかなり制限されるんです。これは私が自分で作りました。
練習の邪魔になりませんか?
いいえ、まったく邪魔になりません。全然入っていると感じないほどです。
ほとんどの場合、衝撃はお尻に受けるのですか?
そうです。でも私はよく手のひらをつくようにしているので、この2つの小さな発泡ゴムを手のひらにつけています。手袋に入れると、転倒の衝撃を和らげる事ができるんです。
自分のロッカールームはないのですか?チャンピオンは自分用のロッカールームを選べると聞いたのですが。
みんなと一緒に着替える方が楽なんです。チーム内に敵はいないし、女の子はみんな優しいし雰囲気もいいし、落ち着いています。よく冗談も言いますしね。
アリーナの部屋にて
練習、クールダウンを終え、私たちはアリーナの家にやって来た。スケートリンクから徒歩1分のところにあるアパートを借りて、コーチのソフィア・フェドチェンコと一緒に暮らしている。見学ツアーは、アリーナがこれまで獲得してきた数々の賞を紹介するところからまた始まる。
「これは私のメダルです。4、5年前のものです。」とアリーナが見せてくれたのは、部屋の中で一番メインの場所だった。
「私のもらった賞はすべてここにあります。そして一番大事なメダルは一番上に飾ってあります。」と、ペルミのロシア選手権の金メダルを指差す。
これは最初にもらったメダルです。最初の大会でもらった参加賞のようなもので、その時は4位だったんです。そして、これは私の最初の「1位」になった時のメダルです。ジュニア3部の大会に2回目に出場した時のもので、その大会で私は1位を獲得しました。2015年の 「ボルガの仔馬」という大会です。
実は、どのメダルもそれぞれに大切で美しいものなんです。これも特別なメダルです。国際大会のもので、サンタクロースカップで1位を取りました。ブダペストで大会があったんです。
アリーナがトップに立ってからまだ日が浅いにもかかわらず、すでにファンからのプレゼントがたくさん集まっている。
大会でリンクに投げてもらってプレゼントされたぬいぐるみがたくさんあるんです。でもここにあるのが全部じゃありません。そういえば、おもちゃについて面白い話があるんです。ある時、今よりもっと若い時に、アボカドのぬいぐるみとピカチュウが欲しかったんです。ある大会である人がピカチュウを投げて、他の人がアボカドを投げてくれたんです。私の小さな夢が叶いました。嬉しかったし、予想外のことでした。
一番大きなおもちゃはテディベアです。すべての試合でもらった登録証をかけています。
アリーナの一番の趣味と目覚まし犬
さらに部屋を見渡すと、教科書とアリーナの趣味である木製パズルが目に入る。
普通のパズルも持っていますが、木製のパズルが好きです。大会の時にやっていましたが、帰る時には分解しなければなりませんでした。
このアパートでは、キッチンでパズルをやっていました。部屋の床でやっていると、犬のせいで半分くらいピースがなくなっているんです。犬がピースを食べてしまって、半分残ってないパズルもあるんです。ハハハ。
パズルの個数の記録は?
500ピースですが、これは普通のパズルです。木製のものは組み立てるのが難しいし、ピースの形が全部違うので、合わせるのが大変なんです。キャラクターや子どもの姿を形どったものがあるんです。ここにもあるんですが(見せてくれた)よく見ると犬の形をしています。これが犬で、これがマズル、これがおやつの骨です。このようなパズルは、もっと時間がかかります。
500個ではなく、2~4千個のピースに挑戦するとすればどうですか?
それはそれで面白いかもしれませんね。この点では、私は几帳面なんです。子供の頃は逆で、パズルをしていても、そのあと気が散ってどこかに行って遊び始めてしまうような、そんな感じでした。でももちろん最後まではめこむのですが、今はもっと真剣にやるようになりました。
キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルのベッキーが駆け寄ってきた。
ベッキーはコマンドがわかりますか?
わかります。
アリーナは「お座り」「伏せ」「お手」「おかわり」「ハイタッチ」「吠えろ」「チンチン」「ステイ」「待て」「よし」等とコマンドを出す。ベッキーは、おいしいおやつのご褒美をもらいながら、素早くしっかりとコマンドに従う。
これはまだ全部のコマンドではありません。散歩の時、「ハウス」と言うと玄関に走っていきます。また、「アリーナを起こせ」というコマンドも知っています。例えば、私が寝ていて、ソフィア・アナトリエヴナが起きていて、「ベッキー、アリーナを起こしに行って」と言います。犬はそっと私の手を舐め始め、私が目を覚まさなければ、私の顔を舐めてくるので、必ず起きてしまいます。目覚まし時計のように、段階的に起こしてくるのです。
大会には連れて行くのですか?
はい、一緒に行きます。まだ子犬だった頃は、リンクに連れて行って、私が滑っている間更衣室で待っていたこともあります。今はホテルの部屋があるので、そこで待っています。
ホテルでは怒られたりしないんですか?
いいえ、怒られることはないです。ベッキーはストレスを抱えていることが多いので、私たちが離れるととても緊張します。ペルミの時はもっと広い部屋にしたんですが、その方が安心するみたいです。スペースが広いと、走り回ったり遊んだりできるんです。
アリーナは誰と仲が良いのか
「4年生を卒業するとき こんなトロフィーをもらいました 「優秀な成績と責任感を評して」と書かれていました。」と、アリーナはスポーツと関係なくもらった賞も紹介してくれた。
クラスノダールの学校を卒業されたのですか?
最初の2年はクラスノダールで、3年生はトヴェリで、4年生はモスクワのとある学校で、5年生はモスクワの別の学校で勉強しました。あちこち移動していたんです。そして、6年生からは自宅学習になりました。
オンライン教育はどのようなものですか?
学校はモスクワにある「ナシ・ペナティ」という通学式の学校です。通信教育のプラットフォームがあり、そこで勉強しています。
では、クラスメイトはいないのですか?
クラスはいますが、オンライン上なので、クラスメイトとは知り合いませんし、関わることもありません。クラスは決められていますが、学校には知り合いがいません。
では、どこで友達を作るのですか?交流する時間はあるのですか?
はい、時間を見つけるようにしています。同じグループの人や、5年生のとき一緒だったヴェラと交流しています。彼女はローラースケートをやっています。彼女とはよくメッセージのやり取りをしますし、一緒に遊びに行くこともあります。
彼女は、あなたのような高みを目指しているのですか?
ローラースケートはもっと難しいです。私の知る限りでは、ダブルアクセルを跳ばない選手が多いです。つまり、ダブルアクセルや3回転ジャンプを跳べば、もうチャンピオンになれるんです。
ローラースケートは本当に難しいです。コロナの自粛期間にジャンプやスピンに挑戦してみたけど、どうやったらできるのかわかりませんでした。ヴェラは様々な大会で演技をして1位を取り、国際大会にも出場しているんです。
アリーナは何を食べ、どんなものを作るのか
次はキッチンに入り、食べ物の話を始めた。
食生活はどうですか?どのくらい食べますか?どのように制限していますか?
正しい食生活を送れるように努力しています。朝食は、ベリーやフルーツの入ったお粥、ベリー入りのオムレツやチーズケーキ、時にはカッテージチーズの入ったパンケーキを食べます。間食もよくします。主にベリー類やフルーツ、それから時々食べる砂糖の入っていないチョコレートバーも好きです。昼食は、半日休みだったり練習が少ない場合は、スープやボルシチ、ウハーなどの汁物にします。また、後半練習がある場合は、付け合わせや野菜を添えたお肉を食べます。時にはそばの実、パスタ、お米に鶏肉や七面鳥、魚を添えたもの、キュウリやトマトを食べます。夕食には、エビや魚と蒸し野菜の料理、サラダを食べるのも好きです。
ご自身で料理はされますか?
はい、基本的に料理は得意ですが、今は注文することが多いです。料理をする時間があまりありません。
ご自身で料理される場合は、どんな料理が得意ですか?
コーチのためにケーキを作るのが好きです。色んなケーキを作った事があります。普通のケーキとヘルシーケーキ(健康的な食生活の原則に基づいたもの – Sport24)などです。
ヘルシーケーキとはどのようなものですか?
甘味料や、より自然で低カロリーな製品が含まれています。
では、自分の洋菓子店を開くこともできますね。
そうですね!(笑
「チャンネル・ワン・カップでは、アカチエワやペトロシアンと一番交流があった。」
見学ツアーの後、私たちは座って、フィギュアスケートや人生について話した。ここでは率直な話をした。
大会で優勝して、何か人生が変わりましたか?
いいえ、たぶん変わっていないです。今でも同じように練習に通っています。同じプロセスで練習し、勉強し、従来のルーティーンを守っています。
でも、気持ちの面ではより自信を持つことができました。今はこの肩書きに慣れましたが、最初の数日間は自分のことを言われているとは信じられませんでした。何しろかなり高い肩書き、ランクですから、自分のことではないと思ってたんです。
なぜそのように感じたのですか?
わからないです。ただ最初は信じられなかったんです、本当に最初の頃は。
ペルミにはどんな目的を背負って行かれたのですか?
ジュニア代表に選抜されるためです。結局、シニア選手権では9位でした。代表になれるかどうかも怪しかったんです。だからペルミに行くわけで、もちろんメダルも取りたかったし、できれば金メダルも取りたいと思っていました。
ソフィア・アナトリエヴナから、チャンネル・ワン・カップがあなたに強い影響を与えたと聞きました。
そうですね、チャンネル・ワン・カップの影響は大きかったです。自信がつきましたし、他の子たちとも打ち解けられました。みんなと話すのが面白くて、お互いをよく知ることができました。みんなとても優しくて、思いやりがあるのです。安心感がありました。
サーニャ・アカチエワとアデリア・ペトロシアンとは一番よく話しました。話したのはフィギュアスケートのことだけではなかったし、話していて面白かったです。
「4回転のために振り付けを犠牲にしない」
初めて4回転に挑戦したとき、緊張しませんでしたか?
いいえ、緊張も怖さもありませんでした。他の演技の要素に対するのと同じように思っていました。新しい演技要素は習得しなければなりません。結局のところ、どの演技要素を学ぶか、3回転なのか4回転なのか、それによって、どんな違いがあるのでしょうか?いずれにしても、同じようにそれができるよう練習するのです。1回転増える分、少し長く、難しくなるだけです。大体の場合、他の構成要素と同じように学ぶことができるのです。
4回転サルコーで優勝されましたね。ウルトラCの他の要素についてはいかがですか?
トリプルアクセルは、シニアのショートプログラムで最も必要とされているので、ぜひ習得して、来シーズンはできるようにしたいです。フリーのプログラムでも使いたいですね。
4回転をたくさん入れる夢のプログラムはありますか?
いいえ、4回転を入れる数に関しては夢は持っていません。4回転の数が多くても、振り付けにまとまりがあり、美しいプログラムにしたいです。スピンもステップも、すべてが思い通りになってほしいと思っています。4回転のせいでプログラムが悪くなってはいけないし、全部が「構えとジャンプ」のようなスタイルになってはいけないのです。
でも、4回転はエネルギーをたくさん使いますよね。
わかっています。でも、4回転のために振り付けを犠牲にしないように努力しています。理想を言うと、4回転もあって、プログラムもちゃんとあることですが。
何がアリーナをトップに押し上げたか
あなたはあるインタビューで、カウンセラーと共に練習に臨んでいると言っていましたね。それは役に立っているのでしょうか?
2、3年前にカウンセラーと一緒にやっていたことがあります。そうすることに決めたのは、練習ではとても上手に滑れてすべての要素をこなせたのに、大会ではとても緊張し、練習では安定していた要素でミスをしてしまっていたからなんです。
大会で自分の動きやジャンプをコントロールし、その場でミスをしないようにするため、カウンセラーの力を借りることにしたのです。これは、緊張や感情を良い方に変えていくことを学ぶという点で、とても役に立ちましたね。
「マイナススタート」が「プラススタート」に変わったということでしょうか?
直近の2試合ではそうですね。チャンネル・ワン・カップは、その意味でとても助かりました。
アリーナの一番の楽しみとは?
ソフィア・アナトリエヴナとの夜の過ごし方は?
彼女は他の女の子たちや他のグループと一緒に練習に残っていることがほとんどです。普段は、私が家に帰って夕食をとり、家事をしたり、犬の散歩や授業を受けたり、リンパマッサージパンツやマッサージガンをやったり、湯船に横たわるなど、毎日違うリカバリーをしています。色んなリカバリーのやり方があるんです。大体は授業とリカバリーが中心で、夜はそんな感じです。
では、気晴らしはどうしてるんですか?
とにかく犬の散歩をしていると気が紛れるんです。また、週末や半休の時にはよく外出します。例えば夏だと、暖かくなってきた頃にウェイクボードに行ったりしました。私は色んな種類のアクティビティが好きで、様々な分野や、色んな種類のスポーツで新しいことに挑戦するのが好きなので、とても気に入りました。シーズン中はあまり時間がないですが、夏はアクティブに過ごすことが多いですね。
今は、自由な時間の大半を授業に費やしています。週末は寝るのが好きで、午後まで寝ていることが多いのですが、その後外出したり散歩したり、公園や映画館に行ったりします。色んな過ごし方をしています。
最近映画館でご覧になったものは?
最近は『チェブラーシカ』を観に行きました。とても心温まる映画で気に入りました。
何か刺激的なことに挑戦したことはありますか?
インドアスカイダイビングをやってみたのですが、すごく気に入りました。とても不思議な感覚で、それを子供の頃からやってみたかったんです。空を飛ぶのが夢だったので。空中にいることがどんな感じなのか知りたいといつも思っていました。いつかまたやりたいし、そこで何か技もやってみたいですね。
空も高所も怖くありません。夏にソチで行われたトレーニングキャンプでは、バンジーで69メートルの高さから飛び降りました。アドレナリンが出て、とても気持ちよかったです。210メートルの高さから飛び降りたかったのですが、年齢と体重の関係で無理でした。また、フリーフォールのような瞬間を感じられる170メートルの高さのブランコもやりました。
ジャンプとそのようなアクティビティとでは、どちらがアドレナリンが出るのでしょう?
もちろん、こういう刺激的なことに挑戦するときの方が出ます。4回転に挑戦するときは、アドレナリンは出ません。
では、どんな感覚がありますか?
集中していて、自分の体をコントロールしようとする感じで、テクニックを気にしている瞬間もあります。良いジャンプができたとか、そういう感覚があれば、それをまた飛びます。4回転ジャンプの時に感じるのは、集中力と自信です。アドレナリンは出ません。
大会では?
大会では、もちろんアドレナリンが出ます。大会で興奮したりするのは普通のことです。リンクに出ていくと、その後は積もっていたものが肩から下りていく様な、力が抜ける感じがありますね。
アリーナが優勝賞金でコーチに買ったプレゼントは?
ペルミのグランプリの賞金は、コーチへのプレゼントに使うとおっしゃっていましたね。最終的に何か買われたのでしょうか?
はい、ヴラダ・ニコラエヴナ(ダニイルキナコーチ )にはiPad Airタブレットを買いました。ソフィア・アナトリエヴナはまだです。近々、一緒にジュエリーを選びに行く予定です。
リンクでのソフィア・アナトリエヴナと日常生活でのソフィア・アナトリエヴナは別人なのでしょうか?
リンクでは厳しいコーチですが、家では支えてくれたり、親身になってくれたりします。また、逆に、ちょっとお堅い感じの時もあります。時によって色々です。練習や外的要因、私の内面的な状態や感情的な状態にもよります。彼女はいつも、その時々に私が何を必要としているかを気にかけてくれています。
家でも練習について話し合ったりするのですか?
練習についても、ジャンプのテクニックについても話し合います。一緒にビデオを見ながら、様々な要素に対する私のアプローチを分析し、比較します。そしてその翌日、リンクに出て、彼女と議論したことを使って、修正するようにしています。
そういうわけで、リンクから出ても練習は終わらないんです。でも普段の生活の事ももちろん話したりします。
「7歳で始めるのは遅いと言われました。グループに追いつけないだろうと。」
7歳というかなり遅い年齢でフィギュアスケートを始めたんですね。そのきっかけは何だったのでしょうか?
6歳半のとき、友達がリンクで誕生日パーティーをするのに招待してくれました。初めてリンクに入ったのですが、すぐに結構早いスピードで滑れるようになりました。1周目の間はペンギン形をした補助器具につかまっていたのですが、「何のために必要なんだろう」と思って、そこからは一人で滑り出しました。
私は滑るのがとても好きで、よく母に頼んでリンクに連れて行ってもらいました。ある日、女の子が何か技をやっているのを見たんです。
それはクラスノダールのショッピングセンターで?
そうです。ショッピングセンターの普通のアイスリンクです。技をやっていたのですが、私はそれを見てとても気に入りました。「わあ、かっこいい」と思いました。シングルアクセルや後ろ向きに滑ったりなど、今となっては普通のものだったんですが、とても気に入ったんです。どうやったらできるようになるのか、習いたくなったのです。
その時、母がいくつかのスケートスクールに電話をかけてくれたのですが、私はその時もう7歳だったので、多くのスクールから、もう遅いと思うだとか、3~4歳でスケートを始めるのが普通だとか、グループに追いつけないだろうとか色々言われました。
ある時、別のショッピングセンターで、そこのスケートリンクから出てきた女の子がいたんですが、私たちはその子のスケートを見ていたので、コーチと話がしたいから会わせてくれないかと頼みました。すると、そのコーチは私を受け入れてくれたんです。
最初の頃は、週に3回、夕方にショッピングセンターの小さなアイスリンクで1時間だけ滑っていました。その後、週6回通うようになり、少ししてクラスノダールの強いトレーナーに変わって、彼女とトレーニングをするようになりました。
ソフィア・アナトリエヴナとの最初の出会いを覚えていますか?
最初から最後まで覚えているわけではないですが、その時の感情はよく覚えています。彼女のことが好きで好きでたまらなかったし、この人となら一緒にやりたいと思いました。
コーチとしての彼女に惚れてしまったと言ってもいいと思います。それからはコーチがモスクワに行っている時も頻繁に電話をかけ、コーチの事が好きと伝えるようになりました。2回練習しただけなのに、なぜか「この人と一緒に練習を続けたい」と一瞬で理解できました。
「私は母に、モスクワに引っ越したい、と言いました。もうすぐ9歳の時でした。」
コーチと一緒に暮らすようになったのは、どういう経緯ですか?
キャリアの最初の頃は、ある時間はクラスノダールに、またある時間はモスクワに住んでいました。何週間かごとに行ったり来たりしていました。モスクワでは彼女のもとでトレーニングを受け、その後クラスノダールでは別のコーチのもとでトレーニングを受けました。そして、春と夏には、彼女のトレーニングキャンプに行き彼女のもとで練習しました。そしてある日、母に「モスクワに引っ越したい」と言いました。最初はちょっと驚いてましたね。
その時は何歳でしたか?
ほぼ9歳です。
9歳で「ママ、私、出ていくね」って言うんですか?すごいですね!
私はただ、本当に練習がしたかっただけなんです! だから母に、モスクワに引っ越すと言ったんです。母は私をモスクワに行かせてくれ、ソフィア・アナトリエヴナと住むようになりました。しばらくして母が越してくることになり、私はまた母と暮らすことになりました。
「後になって母と喧嘩になりました…」
ご両親は、あなたがフィギュアスケートに取り組んでいるのがあまりお好きではなかったと読みました。それはどういう形で表に現れてきたのでしょう?
あまり好きではなかったというわけではないのですが、直接的に応援してくれたわけではありません。それどころか、やってほしくないという気持ちもあったようです。あまり話したくはないのですが、そうですね…ある時辞めるよう言われました。でも私は続けたかったので、そのせいで衝突するようになりました。
今、父はクラスノダールで前と同じように暮らしていて、越して来てはいません。母はモスクワの別の地区にいます。
ご家族はどんなお仕事をされているのですか?
父はクラスノダールで建設業、母はマーケティング管理をしています。兄弟姉妹はおらず、一人っ子です。
祖父母とは連絡を取っているのでしょうか?
父方の祖父母とは連絡を取り合っています。よく電話しますし、向こうからも電話がかかってきます。祖母もアスリートで、体操のスポーツ修士号を持っているんです。祖母はいつも私を応援してくれています。よく電話をかけてきて、褒めてくれたり、励ましてくれたりします。
お母さんも最初は応援してくれていたのですよね。幼い頃からコーチのところに行かせてくれたんですもんね。
そうですね。喧嘩になったのはもっと後のことですね。
理由は何だったのでしょうか?もちろん、話せそうだったらで構いません。
主な理由は、彼女がフィギュアスケートの練習に意味を見出せなかったからです。時間、お金、エネルギー、健康の無駄遣いだと言っていました。それが主な理由だったと思います。他にもあったけど、それについてはもう話し合う気はないですね。
ご両親には会っていますか?
母には会えますが、父は別の町に住んでいるので、そんなに頻繁には会えません。
ペルミで勝利した後、お祝いはしてくれましたか?
はい、してくれました。大会が終わるとお祝いしてくれるんです。学校のことを色々話したり、祝日を一緒にお祝いしたりもしますが、子供の頃に感じていたような温かい関係はもうありません。そういった関係は失われてしまいました。
ちょっと複雑な運命を背負っているんですね。現在の状態には満足していますか?
ええ、もちろん、全てのことに満足しています。自分が達成してきたことに対して嬉しく感じていますし、これにとどまることなく、さらなる高みを目指していきたいと思います。
ソフィア・アナトリエヴナは、あなたにとって第二の母のような存在だとおっしゃっていましたね。ここにはどういう意味が込められていますか?
私はソフィアの事が大好きですし、彼女は私を支えてくれ、あらゆることに力を貸してくれます。彼女は、あらゆる問題に対処するのを手助けしてくれます。リンクの中だけでなく、人生においてもです。様々な状況でどのように振る舞えばいいのか説明してくれます。また、私が勉学で理解できないことがあれば助けてくれます。
私の認識が正しければ、ご両親は、あなたの人生にもう大きな影響を与えることはないということですね?
そうですね、そう言えるかもしれません。
「ミーシンやトゥトベリーゼのもとでの研修?やりたくないですね。」
ソフィア・アナトリエヴナから、あなたは他のグループにも誘われていると聞きました。たくさんのオファーがあったのですか?
たくさんはありませんでしたが、それでも他のグループには行きたくありません。私は自分のチーム、ソフィア・アナトリエヴナ、ヴラダ・ニコラエヴナと一緒に練習したいのです。彼らとなら、きっと高みを目指せると信じています。
著名な指導者のもとでトレーニングするのはどうですか?アレクセイ・ミーシンやエテリ・トゥトベリーゼのもとでなど。
いいえ、やりたくないです。私は自分のコーチとだけやりたいのです。
あなたの性格を考えると、将来素晴らしいコーチになりそうですね。犬とのやりとりを見てもわかると思います。そういうことを考えたことはありますか?
ありますよ。でも、コーチにはなりたくないんです。私は自分にも、そして犬にもとても厳しいので、もしかしたら成功できるかもしれませんが。私は完璧主義者なんです。コーチは時々、「あなたが教えることになる子供たちはかわいそうに、あなたのもとでは最後まで滑れないかもね」と冗談を言います。ハハハ、もっともです!ひとつひとつの手の動きも足の動きも全部直してしまうでしょうね。
でも本当は、プログラムを作る人になる方がいいなと思います。私は音楽を聴いたり、イメージやつなぎを考えたり、即興で演奏したりするのが好きです。特にジャズクラシックが好きなんです。もしかしたら成功出来るかもしれませんね。
どんな音楽を聴くんですか?
いろいろですが、ロシアの曲ではなく、英語かフランス語の曲が好きです。正直、音楽を聴いてもバンドや作者を覚えたりはしないんです。好きな曲があって、自分のプレイリストを持っているんですけど、それを聴くのが好きなんです。少し悲しい気分になると、ある曲をかけてちょっと一人の世界に入るということもあります。時には楽しい音楽を聴いて気を紛らわすこともあります。私のプレイリストは気分によって変わります。
「中立旗で出る準備はできています。大切なのは、自分は何者かということです。」
来シーズンの目標はもう決まっているのでしょうか?
試合ついて予想を立てるのは好きではありません。私の主な目標のひとつは、トリプルアクセルを習得し、ショートとフリーのプログラムでそれを披露することだと思います。そして、全体的にもっと良くなることです。
ジュニアの大会は、このペルミでの選手権が最後なのでしょうか?来季はシニアに完全に移行していくのでしょうか?
そう思っています。でも、もちろん国際大会があれば、ジュニアグランプリに出場しますよ。シニアの国際大会に出場することはまだないですね。
国際大会が恋しいですか?
はい、国際大会が好きだったので。国際大会には数回しか出場していませんが、雰囲気や他の子とのコミュニケーションも好きでした。もちろん恋しいです。また他の国々と競い合えたらいいなと思います。
中立旗のもと、出場する準備はできていますか?
もちろんロシアの国旗、私たちの国の国旗で行けたらなとは思います。でも、中立旗で出る準備はできていると思います。大切なのは、自分が何者であるかということです。
ファンからの10の質問
質問①アリーナは本を読むのが好きですか?好きなジャンルは何ですか?
本を読むのは好きです。しかも、ファンタジー、アドベンチャー、古典など、さまざまなものを読みます。特定の好きなジャンルはありません。今はベートーベンの犬について、その前はクルエラのシリーズを読んでいました。
質問②アリーナは、これほど高いレベルの闘いについてどのように感じていますか?そのようなライバルのいるシニアに移行するのは怖くなかったですか?
正直なところ、最初のころは初めての大会で慣れないことばかりでした。まったく新しい感覚、新しい感情、新しい経験。
最初のうちは、かなり居心地が悪かったです。でも全体的に慣れてきて、2回目のグランプリのペルミでは、有名な子たちの中でも安心して過ごすことができました。
質問③好きな男子シングルスケーターは?
正直なところ、私は男子スケートは追っていません。大体誰が滑っているかは知っていますが、男子はあまり見ることがないです。それよりも、ペアスケートを見るのが好きです。タラソワ/モロゾフ、ボイコバ/コズロフスキー、ミーシナ/ガリアモフ、この3人のトップペアが好きですね。
ペアスケートの魅力は何でしょうか?
ペアはかなり過激なスポーツだと思います。もちろん、その人にとってどう感じるかは人によりますが、私にとっては様々な角度でスピンするところが面白いなと思います。普通に氷の上で回るのではなく、氷と平行な状態で回るというのを試してみたのですが面白かったです。本当に不思議な感じです。
なんだかペアの人たちに憧れるところがあるんです。ツイストやヘッドリフトは怖いですよね。ペアは高いところで技をやるんです。スローイングなんてカッコイイなと思います。投げられて飛ぶ、こういう飛ぶ感覚が好きなんです。
ペアができるようになればなと思いますか?
たぶん無理ですね。パートナーをあまり信用できないと思います。
10年後の「アイス・エイジ」では?
何とも言えませんね。そこに出てるパートナーはまだフィギュアスケーターではないですから。
質問④「クルエラ」のプログラムで、サーシャ・トゥルソワと比較される心配はなかったのですか?
まったく気になりませんでした。人の数だけ意見があります。サーシャのパクリだと思う人もいれば、まったく別のプログラムだと思う人もいるでしょう。みんな違う見方を持っていて、それぞれに評価する権利があります。みんな自分の意見を持っていて、いつでもそれぞれがその意見を言うことができるんです。
落ち込んだりはしなかったのですか?
いえ、しませんでした。私のは違うイメージだということを自分が理解していますので。特にクルエラというものを具体的にそのまま滑っているわけではなく、エステラと、彼女がクルエラへと生まれ変わったそのイメージで滑っているんです。私のビジョンは、違うイメージ、違う振り付け、違うプログラムなんです。
コメントはご覧になりますか?
読んでいますが、全部ではありませんし、いつもというわけでもありません。時々、暇なときにコメントを読んでいます。
自分のことについてのコメントを読んだ中で、最も気分を害したものは何ですか?
ちょうど同じ話ですが、私のプログラムが完全にトゥルソワのパクリだと書かれたことです。同じ振り付けで、同じプログラムだという風に言われました。
質問⑤好きな構成要素は??
4回転サルコウです。
質問⑥トヴェリによく行きますか?
いえ、長い間トヴェリには行っていません。
質問⑦以前、メルセデスベンツを背景にして写真を撮って、こんな車を買うんだと書いたことがありましたね。その夢はまだありますか?
私はメルセデスのGLEというモデルが好きです。見た目も内装も、とても美しい車です。
だから、大人になったらこんなクルマを買いたい、という夢はありますね。でももしかしたら、大人になったら好みが変わって、別のクルマが欲しくなるかもしれないけれど、今のところこの夢は変わってないです。
質問⑧フィギュアスケートの他に、興味がある、心惹かれるスポーツはありますか?
馬術が好きです。見ることはあまりしないのですが、やるのが好きなんです。フィギュアスケートの前は、一時期馬術をやっていました。そして馬が大好きで、動物全般が好きなんです。
馬と遊ぶのが好きで、馬に乗ってジャンプができるようになったり、ギャロップやトロットという走り方を練習したりしました。私はトロットができます。ギャロップも試したことがありますが、それでまっすぐ走れるとは言えません。
質問⑨今の身長はどのくらいですか?
この前測ったら153cmでした。
伸びる速度は速いですか?
いえ、早くありません。でも、一時期はすごく伸びたんですよ。いつだったか覚えていませんが、1年か1年半で12cm近く伸びたんです。
質問⑩スケートのモチベーションを上げるもの、練習に取り組ませようとするものは何だと思いますか?
目標と、それを達成しようとする気持ちです。私は大体において、成長し、改善し、より良くできるようにするのが好きです。大会のビデオを見て、自分が成長したことを実感するのが好きです。自分の成長を実感できるのは嬉しいことです。自分に対する小さな勝利が、大きな勝利につながるのです。とにかくフィギュアスケートが大好きなんです。それにまつわる夢があって、それを叶えたいと思っています。
オリンピックで勝つことですか?
そうです。
強さの秘訣は?
インタビューの最後に一言お願いします。
コーチに感謝しています。私のためにしてくれること、サポート、忍耐、毎日一緒に行う練習、すべてにとても感謝しています。ファンの皆さんも、ありがとうございます。私について書いてくれたり、チャンネルを合わせてくれたり、皆さんのサポートにとても満足しています。これは私にとってとても重要なことです。ありがとうございます。
最後にもうひとつ質問です。強さの秘訣は何でしょうか?
動くことです。
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