インタビュアー:あなたがどれほど強く髙橋大輔と村元哉中に五輪後のシーズンも現役を続行してほしかったかを知っています。2人の説得には長くかかりましたか?
ズエワ:説得ではなく、私達はこの問題を議論しました。そして、道半ばで中断しないという決定を一緒に下しました。ましてや、スケーティングを更に良くする余地やそれを行う時間があるのですから。
この決断に利した2つ目の論点は来年埼玉で行われる世界選手権です。これは選手自身だけでなく国にとっても良いことです。日本では今とても強くアイスダンスへの関心が高まり、多くの子供がこの種目に取り組み、史上初めて、私のかつての教え子のキャシー・リードが指導する日本のカップル(來田&森田組)がジュニアグランプリシリーズで3位に入りました。
一方ではこれらは驚きですが、他方では説明もつきます。髙橋は祖国で愛され、シングルからアイスダンスに転向した後は並外れた結果を出すこととなり、沢山の支持者ができた。
インタビュアー:村元&髙橋組は2度ISUグランプリシリーズで6位になりましたが、スケートアメリカではNHK杯より9.1点得点が低かった。試合の結果にはガッカリさせられましたか?
ズエワ:いいえ。ジャッジの評価については6位で良いです。でもレベルを取れなかった。
インタビュアー:ちょっと待ってください。もし2人が事前に申告したエレメンツをレベル4で実施することができるとして、突然レベル1や2の判定を受けるとは…その様な段階まで滑りを失うことってできるものでしょうか?
ズエワ:あり得ます、残念ながら。アイスダンスでは容易です。ましてや哉中と大輔は実際準備不足だった。今私達は多少修正したが、最初の試合の前には私達にはただ時間が足りなかった。
インタビュアー:シーズンインが遅かった?
ズエワ:ええ。哉中と大輔は昨季末沢山ショーに出、そして彼らには休養も必要だった、6月に私達は新プログラムを振り付けはじめ、準備を急がないと決めました。唯一、少し計画を見出したのは、グランプリシリーズアメリカ大会の主催者からの出場依頼でした。私はもう少し遅く競技を始めたかったのです。
インタビュアー:今季RDに選ばれたラテンアメリカンスタイルは日本のフィギュア選手には相当難しい。そういう印象はありますか?
ズエワ:もちろんあります。ラテンはある意味で伝統的な日本の礼儀や文化と矛盾します。なので、選手達にとってより心理的に快適なように、彼らが自身の最も素晴らしい素質を発揮できるように、私はショートダンスをテクノスタイルで振り付けしました。哉中も大輔もとてもキレがありスピードがあり、他の選手より際立っている。その上、手短に言えば、違いに取り組んでいる。
インタビュアー:ラテンの主な難しさはどこにありますか?
ズエワ:リズムにあります。これはとても特異なもの。テンポではなく、まさにリズム。とりわけラテンのリズムは入れ替わる。加えてパートナーの相互関係も。どんなスタイルにダンスを振り付けても、ラテンは常に男と女のゲーム。誰もがこれを表現できるわけではない。
ズエワ:(略)大輔は素朴で、とても付き合いよくオープンですが、でも同時に慎み深く、日常的なものについては全くもって控えめ。同時に、彼の才能はフィギュアスケートだけにはとどまりません。彼は歌も上手で、自身の日本のショーでボーカル入りのプログラムも演じています。
インタビュアー:滑りとは別で?
ズエワ:ポイントはそこで、別ではありません。滑って歌う、しかも録音に被せてではないのです。彼がどうやってこれをこなすのか、私にはわかりません。でも観るのは面白いです。
インタビュアー:今季、世界選手権でどの様な課題を村元&髙橋組に課しますか?
ズエワ:まず初めに私達は公式に選ばれなければなりません。哉中と大輔の基礎やシーズン中の評価は競争相手よりも高かったにもかかわらず、昨年はうまくいきませんでした。でも日本の選考でツイズルで酷いミスをしてしまいましたが、このエレメンツが高くつきました。なので今私達は一歩ずつ前進しています。全日本の前にはプログラムを磨き上げ、ジャッジからの助言を受ける必要があります。
インタビュアー:直近の世界選手権ではあなたの教え子は16位でした。あなたの感覚では、村元&髙橋組は今何位争いができると思いますか?
ズエワ:まさにトップ10でしょう。ことの成り行きではもっと高いのもありえる。日本では2人に高い順位がとても期待されています。彼らはすでに日本の国内記録を自らのものにしています、昨年の四大陸選手権で2位になりました。もし世界選手権で10位に入れば、日本は次の世界選手権でアイスダンス選手を2組派遣できる様になります。スポーツの発展のためにこれはとても重要です。
インタビュアー:国のためという点では、多分、どの組が枠を勝ち取っても大きな違いはないでしょうか?
ズエワ:一方では、そうですね。でも哉中と大輔は、前述の通り格別に応援されています。これらの期待に応えるために、私達にはもう少しの時間が必要なだけなのです。
インタビュアー:髙橋のモチベーションは保たれていますか?彼はもう36ですが。
ズエワ:私はカザフスタンで2人がデニステンメモリアルで勝利を飾った後の記者会見がとても気に入りました。大輔はそこで、彼にとって、まず滑るのが大好きということ、そして2番目に、彼は今になって1つ1つのプログラムは、誕生の瞬間から育て、彼にある技能を授け、誇りに思い、他の人にも誇ってほしいまるで子供のようなものだと理解したと語りました。そして、この素晴らしい過程は一人で獲得したメダルよりもずっと価値があるんだ(とも理解した)と。
実際、彼は正しい。勝利は輝かしいが、しかし一瞬のものです。一方ここには一瞬一瞬を楽しみながら勝利へ向けて成し遂げる道がある。これは、永遠に記憶される現実の財産です。それで、何が最も大切なことかわかりますか?
インタビュアー:なんでしょう?
ズエワ:取り組みから得られるこの内なる喜びは、あらゆる難しいエレメンツと同じように、鍛えることができるということです。

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