マリニンは高得点のために方針を変えることを冗談めかして言い、羽生を侮辱した。今ではイリヤに問題がある。

Малинин пошутил о смене ориентации ради высоких оценок и задел Ханю. Теперь у Ильи проблемы
Фанаты против бога квадов.

イリヤ・マリニンがメダルを獲得したり4回転アクセルを決める時、ロシアでは彼を自国の選手と呼ぶ。アメリカでは、イリヤ・マリニンがコンポーネンツを良くするためには方針を変えなければならないと冗談を言うと、彼のルーツのことが取り上げられる。

スキャンダルの発端は、マリニンのソーシャルメディアの生配信だった。ストレート(同性愛者でないということ)であることを証明してほしい、という冗談めいたリクエストに対してイリヤは、これ以上はストレートではいられない、でないと高いコンポーネンツが得られないから、と返答した。

このフレーズだけで、大きな話題になるはずだったが、同じ配信の中で、マリニンは羽生のファンを侮辱したのだ。イリヤの言葉はこのようなものだった。「世界初の4回転アクセルを決めたイリヤを祝福しながら、結弦は苛立っていた。」

マリニンとブラウンはアメリカ代表の主戦力。イリヤが羽生とチェンの記録を狙う一方で、ジェイソンは4回転なしでトップを走り続ける。

マリニンはすぐに冗談が行き過ぎたことに気づき、ソーシャルメディア上で「傷つけてしまったすべての人に」謝罪し、自分の行動を幼稚なものだったと言った。しかし、それに対して、彼はもう子どもではないのだから、というコメントが寄せられ、謝罪の言葉には説得力がなかった。

マリニンを拒否する動きはすぐに始まった。長年イリーナ・ロドニナのライバルであるタイ・バビロニアも介入し、彼女はTwitterで米国連盟に、イリヤに注意を払うようにと要請した。彼女は後にこの投稿を削除したが、謝罪の誠意がないとして彼を非難したユーザーの投稿に「いいね」を押した。

この無料のスタンドアップ(聴衆の前での独白ショー)の(ような配信の)中で、イリヤは名前こそ言わなかったが、多くの人は、4回転の神様はブラウンを嘲笑ったと考えていた。というのは、ジェイソンはゲイということを公表していて、コンポーネンツに関しては非常に高いからだ。それ以外にも、1年前、ジェイソンがオリンピックに行っていて、アメリカの準チャンピオンのマリニンがホームにいた時、この代表チームのチームメイトに対しての不満がマリニンの中で出てきた可能性がある。

イリヤがブラウンのことを具体的に意味していたわけではないにせよ、ジェイソンがチームにいる状態で、方針を決めるコンポーネンツのことで皮肉を言うというのは、ワリエワのドーピング事件が起きているのにアカチエワがトリメタジジンの冗談を言うようなものだ。そして、国別対抗戦でマリニンのショートプログラムの後、彼をサポートするためにキスアンドクライに残ったアメリカ人選手はブラウンだけだったという事実が、この状況を悪化させた。

この状況をどうにかしようと、イリヤはジェイソンと平行してスピンをする動画を公開したが、より悪い結果になっただけだった。これは、横断幕や客席の様子から判断して、数週間前の日本のショーの際に録画されたものだった。マリニンは、ブラウンとのいざこざがないことを示すためだけに、この映像を投稿したようだ。

だがこの投稿は新たな怒りを呼んだ。ユーザーたちは今、イリヤがジェイソンの名前に頼って、彼の後ろに隠れて批判を逃れるつもりだと非難している。コメントには次のような言葉が並んでいる。「特権的な白人男性だ、よく文句言えるな」、「正直なところ、お前はコンポーネンツに関して8点ではなく4点の滑りをしている」、そしてもちろん、羽生への発言でより不快感を覚えた人からの「結弦の前から消えろ」も。

驚くことだが、2年前にもネイサン・チェンが同じような状況にあった。彼はおそらく最も外交的で発言には気を付けているであろうスケーターだ。結弦についての終わりのない質問をしても、ワリエワのドーピング事件やそれにより団体戦でメダル授与が行われなかった事について挑発しても、彼を対立の場におびき出すことはできなかった。

しかしながら、2022年の北京オリンピックの前にチェンは失敗を犯した。彼は自らを「LGBTQのアスリートらが支配するこの種目ではストレートだ」と表現し、ヒップホップやポップスの曲を自身のプログラムに使うことで、フィギュアスケートの女性化というトレンドを回避しようとしていると発言したのだ。その後ネイサンは謝罪し、より品格のあるスポーツの代表者になることを約束しなければならなかった。

イリヤの状況はより複雑だ。第一に、彼の発言はもっとひどいものであった。そして第二に、マリニンの代表チームでの立場は、チェンよりも明らかに弱いものであるのだ。ネイサンは、すでに世界チャンピオンであり、オリンピックの金メダル候補として、不愉快なインタビューに答えてしまった。一方、イリヤの方は、獲得した主要な賞はISUスケートアワードに過ぎないのだ。

そしてマリニンの驚異的な技術は、どうやっても高い得点にならないのである。国別対抗戦では、ブラウンは4回転なしで、フリーではさらに良い結果であったし、イリヤとジェイソンの合計得点差はわずか0.5点だった。(4回転の神様が味方した結果)そして、チームの獲得ポイント数で1位だった。

しかし恐らく、イリヤを襲った批判の最大の理由は、彼の自分に対する揺るぎない自信であり、それは多くの人に傲慢さを想起させるのだ。北京に行くのは彼自身であるべきだという主張、すぐに5回転も出来るという約束、トレードマークの帽子「4回転の神様」は、多くの人を苛立たせている。特に、どんな質問に対しても「今後も練習に励みます」という言葉が普遍的な答えとなるスポーツでは、そうだ。

このような背景から、どんなものでもマリニンの失敗は、4回転アクセルという高みから彼を地面に引きずり下ろす機会として受け止められ、同時に、不適切なジョークに対する公正な怒りを装って、表現力に乏しいスケート、大事な競技会での失敗、印象に残らないプログラムといった話題でからかう口実にされているのだ。

4回転アクセルと5回転の夢 – マリニンの名を歴史に刻んではくれるが、メダルをくれるとは思えない、あるシステムとの戦いに挑む

ブラウンは実際に、構成点でこのシーズンのトップだ。彼は2つの国際大会に出場し、プログラムの合計で約143点を獲得した。マリニンは、コンポーネンツの平均得点ではトップ10にも入っておらず、グラスル、山本、サドフスキーの方がマリニンよりも高い。

ところが、大部分がジャンプを中心に構成されているプログラム持つマリニンよりも、ブラウンの方が表現力があり、スケーティングも優れているというのはおかしな話だ。きっと、ジェイソンはアメリカ人でなければ10点台には届かなかっただろうが、しかしイリヤもまた、架空のメキシコのパスポートを持っていたなら、8点台が並ぶことはなかっただろう。

しかし、ブラウンの強さは、構成点というよりも、エレメンツの質に対する加点にあった。比較すると、世界選手権でフリー演技において記録的な基礎難易度があったマリニンがほぼゼロに近いGOEを獲得した一方、ジェイソンはそれらを犠牲にして、技術点を71.37から90.03に伸ばした。アイモも同じような状況で、質の高さで17.86点の加点があり、チャの方は20.25点であった。

ISUは、マリニンがシニアに上がるずっと以前から、難易度を犠牲にしてきれいな滑りをすることを重視していた。全く同じこの原則で、シェルバコワは北京でトゥルソワを破り、コストルナヤは自身のベストシーズンで2人を破った。

マリニンが、その型を基にして自身のプログラムやイメージを構成してきた彼のお手本のチェンも、ヤグディンやプルシチェンコ、フェルナンデスや宇野といった多くの他のチャンピオン達も、マリニンの論理には当てはまらない。もし羽生が、過度にロマンチックな衣装や、男性的なイメージではないと批判されることがあったとしても、私生活に関する推測に関しては、羽生は決して注目されるような事はなかった。

イリヤとその側近が持つ、ジャッジへの憤りは、かなり明白なものだ。それは2023年世界選手権のキスアンドクライに浸透し、マリニンの「スケーティングの練習に取り組んでいる」という皮肉な投稿にも反映されるだろう、と彼の代理人のアリ・ザカリアンによって明確に宣言されている。

「結果については、4回転アクセルに12.86という点数をつけてくれたジャッジに驚かされたのと、『感謝』(皮肉)している。美しいトリプルアクセルをやっても、ほぼ同じ点数だっただろう。だから私は、彼の4回転アクセルをこんなに上品に採点したジャッジに対して『ありがとう』と言っているのだ。こんなことは世界選手権史上初のことだと念を押しておく。」

部分的にはその怒りは正しいところもある。4回転アクセルには実際に不当に低い価値が与えられているし、プログラムの難易度を高めることはISUの明らかな優先事項ではない。そしてもう1つの問題は、マリニンがこれらのルールに従ってプレーし続けているということだ。また、国別対抗戦でのイリヤのフリーの時のような失敗は、チェンの時にも許されなかったのだ。

マリニンは、第二のプルシェンコのような道を選ぶことができる。それはつまり、4回転のアンバサダーになって、採点システムに5回転ジャンプを導入するようにロビー活動を行い、驚異的な難易度を持つアトラクションのようなプログラムを新しい美学だと宣言することだ。しかし、この道では、彼は常に脆弱になるだろう。ユニークな事はできるだろうが、それは自分が正しいと完全に確信している場合にのみできることなのである。

プルシェンコが、自分のプログラムにつなぎがないことをアピールし、見せつけるように表彰台の1段目を踏み越えていた頃、彼はオリンピックチャンピオンであり、長年にわたりそのアプローチが彼を正当化していた。マリニンの4回転アクセルへの賭けは、彼自身を印象付けることはできたが、まだ功を奏してはいない。

もうひとつの問題は、イリヤのソーシャルメディアにある憎悪の度合いが、彼が取り消した不適切なフレーズのレベルを超えてしまったことである。この不幸なジョークは、マリニンを傲慢で、独善的で、率直すぎると考えてきた人たちに、彼に腹いせするための口実を与えてしまった。

イリヤは、ある人は夢にも思わなかった、またある人は何年もかけて挑戦してきたというジャンプを、いとも簡単にやってのけた。このことは、彼のあらゆる失敗を待ち構え、それを修正不能な大失敗にまで誇張する個別の口実を呼び起こすものなのだ。

問題は、マリニン自身がそのようなプレッシャーに耐えられる準備ができているかどうかだ。

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