3月23日水曜日、モンペリエで世界フィギュアスケート選手権が始まる。今年はロシア代表なしで開催される。原因は皆様ご存知の通り。加えて何名かのトップ選手も不参加だ。ネイサン・チェン、羽生結弦、ウェンジン・スイ&ツォン・ハン。多くのスター選手の不在にも関わらず、見どころは実際のところどの種目にも見つけられる。
世界フィギュアスケート選手権2022日程
3月23日(水)
19:05 — 女子(ショートプログラム)
26:30 — ペア (ショートプログラム)
3月24日(木)
19:00 — 男子(ショートプログラム)
26:15 — ペア (フリープログラム)
3月25日(金)
19:00 — アイスダンス (リズムダンス)
26:00 — 女子 (フリープログラム)
3月26日(土)
18:55 — 男子 (フリープログラム)
25:05 — アイスダンス (フリープログラム)
坂本花織のチャンス
2021/22シーズンは坂本花織のキャリア上最も成功を収めたシーズンだと呼べる。安定し堂々とした滑りは彼女に高得点を許し、そのおかげでこの日本女子は予想外に北京から個人戦の銅メダルを持ち帰ることができた。
モンペリエ世界選手権は坂本にとって真の耐久性テストになる。彼女の最高得点は他の選手より15点以上優れている。自身の称号のコレクションに「世界最高のフィギュアスケーター」を加えるのを阻むのは、彼女自身のミスのみである。しかし彼女は一度も世界レベルの大会で優勝候補として臨んだことがない。緊張するかもしれない。その時はタイトルは総じて誰でも手にしうる。
男子の新たなチャンピオン
2017年世界選手権から、世界選手権の金はオリンピックチャンピオンのネイサン・チェンと羽生結弦の間で分配されてきた。両選手とも健康問題を理由にフランスへはやってこず、勝利への道は他のシングル選手に開かれた。
彼らの不在において優良候補は北京五輪銀メダルの鍵山優真だ。男子フィギュアスケートの予想の難しさはあれども、自身の役割を果たすだろう。アメリカのヴィンセント・ジョウ、日本の宇野昌磨、そしてイタリアのダニエル・グラスルは上級の4回転シャンプを自在に操り、韓国のチャ・ジュンファンは4回転ジャンプを素晴らしい滑りと首尾よく結合させている。
他にも、アメリカのイリヤ・マリニンも名乗りを上げる素晴らしいチャンスを有している。全米選手権では衝撃的なコンテンツを見せつけ、彼の上にはネイサン・チェンしかいなかった。練習ではイリヤは4回転2本からなるコンビネーションジャンプを跳んでいる。彼のモンペリエでの演技はまさしく大会の華となる。
トリプルアクセルの戦い
積極的に高難度ジャンプを研究しているのはロシア女子だけではない。海外選手はまだ4回転ジャンプには苦戦しているが、トリプルアクセルはずっと馴染みのコンテンツに入っている。練習ではこのジャンプをもう5人もの女子選手が跳んでいる。日本の樋口新葉と河辺愛菜、韓国のユ・ヨンとイ・ヘイン、他にほアメリカのアリサ・リウがいる。比較のために、シニアのロシア代表でこれを自在に操っているのはカミラ・ワリエワとエリザヴェータ・トゥクタミシェワのみ。トゥルソワは練習でだけクリーンに跳んでいる。
加えて他の女子選手もアクセルに試合で着氷している。まさにトリプルアクセルが世界選手権でもメダル争いにおいて決定的要素になるかもしれない。
髙橋大輔の帰還
男子シングルで大輔は多くのことを達成した。2010年世界選手権での優勝、バンクーバーオリンピックでの銅メダル、四大陸選手権で2度の優勝。2014年ソチオリンピック後にこの日本選手は引退したが、オリンピックサイクルを1つ経て再び競技に戻ってきた。
1シーズン半を経て髙橋は村元哉中と組みアイスダンスへ転向した。マリーナ・ズエワの正しき指導により同組はオリンピックシーズンへ向けて悪くない調子であったが、全日本選手権での悔しいミスは彼らから北京オリンピックへの切符を奪った。9年ぶりにこの日本選手は世界選手権へ新たな立場で舞い戻った。シーズン中彼らの評価はとても良いが、しかし哉中と大輔は世界トップ10の座を勝ち取るために緊張をやりこなせるか?
ペアにおける日本VSアメリカ
最もショー的要素の強いフィギュアスケート種目であるペアは、2つの最高の派閥である中国とロシアが出場しない。日本はまだこの種目の進歩では名を馳せておらず、唯一の達成は2012年ニース世界選手権の高橋成美・マーヴィン・トラン組の銅メダルだ。三浦璃来・木原龍一は、最強の選手たちと戦う意志を示しながら、最も厳しい戦いでグランプリファイナル行きを勝ち取った。フランスでは10年前の結果を繰り返すだけでなく、日本最初の世界チャンピオンになることも現実的だ。
彼らのライバルとなるのはアメリカ代表のアレクサ・クニエリム&ブレンダン・フレイジャーとアシュリー・ケーングリブル&ティモシー・ルデュクだ。これら3組全ては安定性では傑出していないので、ペア競技の結末は絶対的に予測不可能なものになりうる。
世界選手権2022に出るロシア人達
大会から完全にロシア人がいなくなる訳ではない。少なくない数の元ロシア代表でスポーツ籍を変更したアスリート達や両親がロシア人のアスリート達がいる。モンペリエで誰を応援しようか見つけたい人のために。アメリカのイリヤ・マリニンについてはすでに触れた。リストがこちら。
ペア
カリナ・サフィナ(ルカ・べルラヴァと出場。グルジア)
ダリヤ・ダニロワ(ミシェル・ツィバと出場。オランダ)
パーヴェル・コヴァリョフ(カミラ・コヴァリョワと出場。フランス)
男子
ウラジーミル・サモイロフ(ポーランド)
ウラジーミル・リトヴィンツェフ(アゼルバイジャン)
モリス・クヴィテラシヴィリ(ジョージア)
ニキータ・スタロスチン(ドイツ)
アレクサンドル・ヴラセンコ(ハンガリー)
ニコライ・マヨロフ(スウェーデン)
女子
アナスタシヤ・グバノワ(ジョージア)
エカテリーナ・クラコワ(ポーランド)
エカテリーナ・リャボワ(アゼルバイジャン)
アイスダンス
マリヤ・カザコワ&グレゴリー・レヴィヤ(ジョージア)
マリヤ・イグナチエワ(ダニイル・セムコと出場。ハンガリー)
アナスタシヤ・ポリビナ&パーヴェル・ゴロヴィシュニコフ(ポーランド)
ニキータ・ルィサク(マリヤ・ソフィヤ・プチェロワと出場。スロヴァキア)
エカテリーナ・クズネツォワ(アレクサンドル・コロソフスキーと出場。アゼルバイジャン)
エカテリーナ・ミトロファノワ&ヴラジスラフ・カシンスキー(ヴォスニア・ヘルツェゴビナ)

コメント