羽生結弦は、今もなお世界で最も人気のあるフィギュアスケーターである。彼のソロショーはスタジアム全体を満員にし、映画館や主要なオンラインプラットフォームで生中継された。
偉大な日本人による、なんという夢幻劇だろうか!
東京ドームは日本では伝説的な会場だ。日本最高峰の野球場であり、そこには野球殿堂博物館もある。通称 “ビッグエッグ “と呼ばれるこのアリーナでは、NBAの試合やマイク・タイソンのタイトルマッチが開催されたこともある。アーティストでは、マイケル・ジャクソン、ポール・マッカートニー、ローリング・ストーンズ、マドンナ、スティングなどが公演を行ってきた。
フィギュア界のスーパースターも、2月26日のショーのためにこの象徴的な舞台を選んだのは当然だろう。通常、このスタジアムの収容人数は57,000人だが、複雑な装飾を施すために35,000人まで減らされた。それでも、この数字には驚かされる。
このショーを見たいと望む全ての人のために、羽生選手のライブ映像を上映する地方の映画館では、3万枚のチケットが販売された。また、大手ストリーミングサービス「Disney+」でも放送された。
このようなショーを組んだスケーターは、弓弦が初めてだ。何より、彼のプログラム「Gift(訳:贈り物)」はソロ公演なのだ。約3時間もの間、羽生は一人で氷上に立った。
「大変なことがたくさんありました。最初は2時間半ももつかどうか不安でしたが、東京ドームという会場だからこそできることでもありました。」
開演のずっと前から、アリーナの外には人だかりができていた。チケットはとっくに完売していた。200ドルという相当な価格にさえ、羽生選手のファンは怖気づくことはなかったのだ。
ショーはかなり大規模なものとなり、スポーツパフォーマンスというより、ロックスターのパフォーマンスのように見えた。凝ったセットや照明効果、巨大なスクリーンもあった。最も印象的だった場面は、羽生が衣装だけでなくアリーナ全体に、羽を生やした不死鳥の姿で登場したところだ。
スタジアムの中央には、30m×60mの本格的なアイスアリーナが設置された。音楽は、東京フィルハーモニー交響楽団による生演奏。ロビー・ウィリアムスの「レット・ミー・エンターテイン・ユー」のショートバージョンや、伝説の「SEIMEI」など、羽生選手のヒット曲はもちろん、新しいナンバーもいくつか披露された。
そして、羽生は自ら、2022年北京大会のメダル獲得が叶わなかった演技を選んだ。北京大会ではカミーユ・サン=サーンスの音楽に合わせたショートプログラムで、4回転サルコウに失敗した。羽生によれば、「序奏とロンド・カプリチオーソ」は、祓わなければならない悪魔と化していたのだという。まるで試合の時のような真剣な準備を行った。その場にはくまのプーさんもいた。
「北京オリンピックでやりきれなかったプログラムです。今日は、あの時掴み切れなかったものを、掴み取るんだというような気持ちでした。当初のイメージ通りとはいかなくても、夢は叶えられるというメッセージを伝えたかったのです。」
3月には、羽生選手が自身の団を率いて、再びショーを開催する予定だ。今、彼は日本人の憧れを一身に受けている。それは、彼のキャリアが終わっても、前回のオリンピックの結果にも、まったく影響されることはなかった。

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